金利政策と為替の関係
お金の貸し借りには金利が付いて回ります。
自動車ローンにしろ住宅ローンにしろ借り入れをすれは金利を支払っていきます。
この金利は銀行やローン会社が独自に決めているのですが、その金利を決める元となる数字が国の政策金利。以前の日本では公定歩合というものがあり日本銀行が各銀行に対し直接資金を貸し出す際の基準金利でした。今では公定歩合というものは無くなり、短期金融市場での金利調整を行うことで公定歩合の代わりになっています。
その国での金利の基準になるのが政策金利。
この政策金利を基に企業の借り入れ金利や個人の借り入れ金利などの支払う金利や、債権や預貯金の金利などもらえる金利が決まっていきます。
その国の金利が上がると海外の銀行や投資家は高い投資利回りを期待してやってきます。
金利の低いところから高いところへお金が流れるのが通常の流れなのです。
銀行や投資家というものは資本を投資して金利を付けて返してもらうのが本業です。Aという国が金利が年利2.0%でBという国が年利1.0%だとすると、それぞれの国の企業は各銀行からそれぞれの金利で融資を受けています。投資家Cが1億円をBという国へ投資してた時、Bという国なら1年で100万円の利息だがAという国なら200万円の利息を生むことが出来ます。そうなると投資家CはA国の資本を回収しB国へシフトするでしょうし、他の誰もがBという国に魅力を感じて投資するでしょう。
上の項目はファンダメンタル分析において重要視される項目です。これらひとつの国家での指標発表だとしても、その結果が近隣諸国にも影響及ぼしていきます。それだけ経済がグローバル化していることの表れです。
USドルは世界の基軸通貨でアメリカ経済の動きは世界への影響も大きく、アメリカでの指標発表は全ての通貨に影響を与えるといってもいいでしょう。
カナダなどはアメリカと経済圏を共有していますし、オーストラリアや日本など環太平洋の国々は米国の影響を受けやすいでしょう。
反対にユーロ圏はアメリカと共有する部分もあれば対峙する部分もあります。太平洋圏のUSドルや日本円が下落する時、遠く離れたユーロやポンドが値上がりしてることを目にすることは良くあります。
その時に絡んでくるのが外国為替です。
2国間通貨の交換売買
Aという国に投資するにはA国の通貨を手に入れなければならない。その国が日本なら日本円が必要です。投資家Cが手元にあるのが米ドルなら米ドルを売って日本円を買う、ドル売り円買いが発生します。ドル売り円買いということは為替市場で日本円が需要過多になり値上がりしていきます。
実際に投資をしなくても、金利が上がればその国の通貨の需要が増えるのはわかっているので投機目的の買い漁りも便乗してきます。そうなると値上がりしていくのは当然のことでしょう。
ただし高金利でも売られる場合もあります。過去に南米やロシアの金利が数十%~数百%と上がってもそれらの通貨は買われずに逆に売られる現象も起こっています。デフォルトや切り下げが予測されればその様なことも起こりうることです。高金利通貨を扱う場合は、高金利である理由を見極める必要があります。
米国やユーロ圏、英国や日本といった経済大国では【金利引き上げ = 高利回り期待】という考えが成り立ちますが、アフリカや南米、アジアの開発途上国においては必ずしもそうではないでしょう。その様な地域の国は政治的・経済的にも不安定な国が多く、通常では海外からの資本参入を見込めないので高金利を売り物にして海外資本を求めている国もいます。そのような地域の通貨は信頼性が無くマーケットでの流動性に欠けるので、いくら金利が高くても大きなリスクを覚悟する必要があるでしょう。
ほかにも金利引下げがその国の景気回復に有利に働くと外国為替市場の参加者が判断すれば、金利引下げ発表でもその通貨の為替レートが上がる時があります。
また金利が上がったとしても外国為替の通貨ペア間での金利差で見なければならないでしょう。片方が下がったからといってもう片方も下げれば金利差に変化は出来ません。
政策金利が発表されてその内容が金利変更(上がるか下がるか)なら、外国為替市場ではすぐに影響が出始めることが多いので各国の中央銀行の金利発表は重要要素です。