経済指標とは・・・

外国為替相場の動きを見るのに経済指標の存在は欠かせない。

為替相場の大きな流れとしては、経済のファンダメンタルズや戦争やテロ等による地政学的リスク、金利差相場などがあげられますが、日々の経済指標の結果がひとつの流れを作ったり、調整の切欠となったりすることも事実です。

特に注目したい経済指標としてはアメリカの雇用統計や各国GDP発表、そして中央銀行関連の発表事項だろう。

  • 雇用統計 : アメリカ
  • GDP(国内総生産)
  • FOMC : アメリカ
  • ECB : ユーロ圏
  • 日銀金融政策決定会合 : 日本

「でも、こんなのどこで見れるの???」

そう思われてる人もいるだろうが、これら指標発表のスケジュールや発表内容は、各FX会社で分かりやすく表示してくれているから安心しよう。また、FX会社によってはメール配信サービスも行ってくれているのでそれを利用すればいいだろう。


重要な政策発表

FOMC
連邦公開市場委員会

Federal Open Market Committee

日本では「日銀金融政策決定会合」、ユーロ圏では「ECB理事会」にあたり、アメリカの金融政策を決定する会合。

FOMCは、年に8回(基本的に6週間毎の火曜日)開催されます。その会議ではマネーサプライの調整や金利・為替レートの誘導などの金融政策方針が決定され、開催3週間後にFOMC議事録という名目で公表されることになっている。

FX参加者のみならずいろいろな方面の人々が注目しているのが、このFOMC議事録。

FOMCのメンバー構成は、FRBの理事7名、各地区連邦準備銀行総裁のうち5名(NY連銀総裁は常駐でFOMC副議長、残り4名は持ち回り)の合計12名で構成されている。


FRB
米連邦準備理事会

Federal Reserve Board /Board of Governors of the Federal Reserve System

アメリカ中央銀行制度の最高意思決定機関で、公定歩合・支払準備率・公開市場操作などの金融政策を行う、日本での日本銀行、ユーロ圏でのECB(欧州中央銀行)と同様、アメリカの中央銀行に相当する。


ECB
欧州中央銀行

European Central Bank

1998年に設立され欧州16カ国の金融政策を担う中央銀行で本部はドイツのフランクフルトにある。

最高意思決定機関はECB理事会で、総裁、副総裁、理事(4名)および参加国の中央銀行総裁により構成されていて、政策金利の発表はこのECB定例理事会が行い、月2回程度のペースで開かれている。


日銀金融政策決定会合

日銀の金融政策決定会合とは、新日本銀行法に基づき日銀において開催される金融政策運営を討議・決定する会合で、原則毎月2回程度開催される。


重要な経済指標

GDP 国内総生産

その国の経済全般の動きを見る最適の統計。カナダ以外の国々は四半期ごとに集計され、外国為替市場では前期比もしくは前期比年率が注目される。

フランスは前期比伸び率を…、イギリスは前期比と前年比の伸び率を…、アメリカは個人消費支出の中で耐久消費財を…、と国によって見る部分も違っているようだ。


失業率

その国の雇用状況を把握できる指標で、「失業者÷労働力人口×100」で定義されている。アメリカでは政策変更への切欠となることも多くあるようだ。

ただし、景気に遅行するので非農業就業者数や新規失業保険申請件数のほうが統計としては信頼できるといわれている。


貿易収支易

イギリスは商品貿易収支、カナダは国際商品貿

経常収支と財政収支の2つからなる国家の収支。その経常収支の中でも外国為替市場が最も注目する指標がこの貿易収支易。一般的に報道されているのは国際収支ベースの財とサービスの季節調整値。計上基準がアメリカと他国では異なるようだが、指標に関してそれにとらわれる必要はないだろう。

アメリカの弱点といわれている「双子の赤字」のひとつを構成するものだけに、ドル売り相場でよく話題にあがるようだ。


生産者物価指数

PPI(国によっては卸売り物価指数)とも呼ばれるもので、物価情勢を見ることの出来る指標。


消費者物価指数

CPIと呼ばれるもので、一般消費者世帯が購入する商品とサービスの総合的な価格の動きを表した指標で、インフレ兆候をみる指標として最も一般的とされている。

アメリカでは都市地域の全消費者、日本では東京都区部と全国に分け集計され発表される。


小売売上高

景気の良し悪しを占う上で見逃せない指標。アメリカではGDPの6割を個人消費が占めることから、この指標は欠かせない。この指標は後の米国雇用統計などに影響する可能性もあり、金利相場のときは要チェック項目だろう。


鉱工業生産

鉱工業部門での生産動向をあらわしたもので、総合指数だけでなく産業別や財別でも分類されている。この発表値が景気総合指数の一致指数に採用されていることで景気全般との関係は深いといわれている。

GDPとの関連性も強く、GDPが四半期ことの発表に対して毎月発表(スイスでは四半期)されるこの指標は、景気実態を把握する指標の速報値という意味でとても優れている指標の一つだろう。


雇用統計:アメリカ

アメリカ国内における「非農業部門雇用者数」「失業率」の他に「製造業就業者数」「小売業就業者数」「週労働時間」「賃金インフレの状態を示す平均時給」など10数項目が発表される。

雇用情勢の変動は、個人所得や個人消費動向にも波及効果が大きいため米国の金融・経済政策変更の切欠になることが多い。


非農業就業者数変化 :アメリカ

雇用情勢を知ることができる指標で、失業率と概念が異なり給与が支払われているかどうかが基準で、業種別に集計数が分類されている。とくに製造業の就業者数に注目が集まる。

米国経済の最重要指標で、月々で失業率と反対の結果になることあるが、そのときはこの「非農業就業者数変化」のほうが信頼できるとされている。


対米証券投資:アメリカ

海外からアメリカの証券(国債・社債等を含む)へ流入した金額を表す指標で、アメリカ財務省により毎月集計されて翌々月15日に発表される。統計~発表に時間的間隔があり速報性には欠けているが、アメリカへの資金の流れを把握する上では重要な指標だろう。

注目すべき点は発表額が貿易収支の赤字分をカバーできているかどうか…

この発表額が貿易赤字額をカバーできない額であれば、ドル安相場でのドル売り材料として扱われる可能性大!


住宅建設許可件数:アメリカ

オーストラリア・ニュージーランドは住宅建設許可

上の住宅着工件数を先取りできる指標、地方自治体などによっては許可申請を行わなければならない。


ミシガン大消費者信頼感指数:アメリカ

ミシガン大学のサーベイ・リサーチセンターが実施しているもので、1966年を100とし、消費者マインドを指数化したものです。

消費者信頼感指数に先行して発表される指標で、当該月の消費者マインドを探る手掛かりとして重要視されている。

景気が低迷してる時期は、製造業関連の指標よりも、この「ミシガン大消費者信頼感指数」で消費者マインドを知るほうが景気動向を占うことが出来るようだ。


耐久財新規受注:アメリカ

製造業新規受注項目のひとつで、製造業新規受注が翌々月の月初に発表されるのに対し、この耐久財受注だけが毎月下旬に前月分が発表される。

製造業新規受注のなかで、速報として発表されるだけに市場の注目度は高いようだ。


ISM景気指数:アメリカ

全米供給管理協会(ISM)が製造業約350社の仕入れ担当役員にアンケート調査を実施して作成されてるもので、主要指標のなかで最も早く発表されること(翌月第1営業日)ことから注目度が高い指標のひとつ。

発表値が50%を超えれば景気拡大、下回ると景気後退を示唆するといわれている。


造業新規受注:アメリカ

製造業分野での出荷・在庫・新規受注・受注残高からなる指標。

注目指標の耐久財受注とセットで捉えるのがいいようだ。


住宅着工件数:アメリカ・カナダ・フランス

月中に建設された新築住宅戸数を示す統計で、景気を計る上での重要な指標とされている。 住宅着工は天候に左右されやすく月次の変動がかなりあり、トレンドを読むには3ヶ月程度の移動平均をとるなどしたほうがいいようだ。

住宅関連が好調だと景気拡大、そして利上げへと進む傾向にある。


消費者信頼感指数:アメリカ・フランス

アメリカでは民間の経済研究所であるコンファランスボードが、フランスではINSEE(国立統計経済学研究所)が調査し発表する指標。

個人消費やGDPとの相関性が強いといわれている。


日銀短観:日本

正式名称「企業短期経済観測調査」。全国の民間企業約1万社に日銀が直接調査を行い、その回答率も信頼性も高く評価されていて、四半期に一度発表されている。


IFO景況感指数:ドイツ

IFO研究所が旧西ドイツ約7,000社の役員を対象に、日本の日銀短観と同様の調査・集計を行ったもので、1991年を100とした指数で翌月下旬に発表される。

その内容もさることながら発表の速さが重要視されている、ドイツの経済指標のなかで最も注目されている。

ユーロ相場を見るなら見逃せない指標だろう。


ZEW景況感指数:ドイツ

民間調査会社であるZEW(欧州経済センター)が経済アナリスト対象に調査し、向こう6ヶ月の景気見通しに対する予想を回答させ、楽観回答の比率から悲観回答の比率を引いたもの。

IFO指数の1週間前に発表されるため、IFO指数に対する先行性が見られることから最近注目度が高まっている。


アメリカの経済指標は特に注目!

アメリカの経済財政状況や金融政策の内容は外国為替市場を動かす材料として最も影響力があるでしょう。

ニューヨーク現地時間の8:30頃に発表されることが多く、サプライズな経済指標が発表されるとその瞬間に対米ドル相場は大きく動きます。

ニューヨーク時間には夏時間(4月~10月)と冬時間(11月~3月)があり、ニューヨーク現地時間の8:30頃は夏時間では日本時間の21:30頃、冬時間では日本時間の22:30頃にあたります。