FX会社のカバー取引

FX取引では相場の変動に対して保有ポジションにて損益が発生し、それが利益になったり損失になったりします。それの基になる数値が為替レートですが、パチンコなどは顧客と業者間とでは業者側が有利になるように出玉率を設定しています。損をする顧客の方が設定的に多いのです。

しかしFX取引においてFX会社が為替レートを有利に動かすことは出来ず、インターバンク市場に依存しています。言わばどっちに転ぶか、どっちが得をするかは半々なのです。

顧客の損失はFX会社の利益で顧客の利益はFX会社の損失…
どっちに転ぶかが半々の状態で取引を行うことはビジネスとしては無謀な取引です。


リスク回避

FX会社はそのようなリスク回避するために、顧客からの注文と同等の注文を他の外国為替を扱う会社と取引を行います。これをカバー取引とよび相手会社をカバー先(カウンターパーティ)といいます。このカバー先は、銀行や保険会社や同業のFX会社など各FX会社の方で公示されています。

カバー取引

カバー取引を行うことで、顧客から【UED/JPY 100,000通貨 ロング(買)】の注文を受けた時、仮に100pips(1円)円安に動けばFX会社は顧客に対して10万円を支払うことになり、スプレッドで入っている数ピップスの手数料など何の利益にもなりません。しかし同内容のカバー取引を行うことで、カバー先から10万円の利益が入り顧客へ支払いはゼロになります。FX会社の立場から見れば顧客へはショート(売)、カバー先へはロング(買)となり、このように同数量で持ち高をイーブンにすることをスクエアポジションといいます。

こうすることで為替変動に対してリスクを回避し、FX会社の利益は、顧客からの注文時のスプレッドとカバー先との取引でのスプレッドの差益分が利益となります。カバー先との取引の方が顧客に提示しているスプレッドより小さいわけです。逆に考えれば、カバー先とのスプレッドを基準に顧客向けスプレッドを決めいていることになります。


カバーの方法はFX会社により異なる

FX会社がリスクヘッジで行うカバー取引
このカバー取引の方法も、顧客の注文を全て自動的にカバー先へ回すFX会社と、選任ディーラーを置いてディーラの裁量によりカバーするかしないかを決めるFX会社があります。

前者の場合は、顧客とのすべて取引をカバーするので為替変動リスクは最小限に抑えることができますが手数料以外に収益は発生しません。反対に後者の場合、カバーを行わない取引に関しては為替変動リスクを伴いますが、ディラーの技量でのディーリング収益にもなります。またこのようなFX会社は、それなりの資本的な体力がないとこのような方法は取れないでしょう。リスクもさることながらディーリングを行う設備投資やディーラーを雇う人件費やディーラーを育てる環境も必要になってきます。

またカバー先会社にもインターバンク市場に直接参加しているようなメガバンクからFX会社とその先にまたカバー先があったり同等規模のカバー先と様々で、もちろんカバー先の大きい方が顧客にとっても有利に働きます。


カバー取引が成立しないと約定できない

カバー先がなぜ重要なのか?
それは顧客からの注文要求に対して、カバー先で蹴られたら約定してくれないということです。

FX会社からすれば、上図の1番の注文より2番の注文が優先で【USD/JPY 100,000 ロング】をカバー先が受けてくれない状態で1番を注文を受ければリスクヘッジにならないからです。システムにて行ってるFX会社なら全てカバー先への応答結果に依存してる形になり、顧客からすればFX会社が優良カバー先と取引してくれてないと指標発表時や荒れ相場の時は全て蹴られる(約定拒否)現象に陥ることもあります。また、複数のカバー先と契約してくれていないとカバー先でのシステム障害などでストップすれば、顧客側も前面ストップになります。複数のカバー先があれば、他のカバー先へと振り分けてくれるでしょう。

もう一方の選任ディーラーを置いているFX会社なら、仮にカバー先で受けてくれなくてもディーラーの裁量で「受ける」と判断すれば約定してくれるでしょう。

こう考えると選任ディーラーを置いているFX会社の方が有利にも思えますが、スプレッド幅などは少し大きくなるかもしれません。全てをシステムに任せているFX会社は、その分人件費なども掛かってないでしょうからスプレッドなどの手数料収益を抑えて薄利多売で顧客を獲得しているとも考えれれます。

どちらがいいかは難しいですが、全てがシステム依存でも多くのカバー先と繋ぎ、安定したシステムを維持しているのなら、顧客としても約定拒否の不利益を抑えれるかもしれません。